2017年07月18日

中国公船、青森沖の領海を二度にわたって侵犯。

 昨日(7月16日)朝、中国、海警局の船舶が、青森沖の「日本の領海」を二度にわたって侵犯していたが、この航行は、「無害通航権」の範囲内ということで、国際法的には問題にならないようだ。しかし、この「領海侵犯」は、国防上では由々しき問題であるのは、間違いない。

 そもそも、この中国公船の青森沖での「領海侵犯」の目的が何であるかは、大きな問題である。
 これが、中国による海洋覇権の主張が、その目的であるならば、この営為に対する何らかの対応措置を、日本政府としては採っておかないと、今後に大きな汚点を残すことになる。
 まず問題なのが、「なぜ、あえて領海侵犯をしたのか」ということであるが、単に津軽海峡を抜けるためだけの航行が目的て、領海ま侵犯することは、通常、考えられないことであり、この目的の一つは、この領海侵犯に対する「日本の対応をみる(日本の出方をみる)」ということであるのは、当然だが、それだけを考えるのは、愚考にすぎないのである。
 いくつか、推測できるが、まず、「海底の地形調査」、「海流の動きやその強弱」、「海底資源の有無を探索する」、「軍事作戦のシュミレーション」などが考えられる。

 朝鮮半島問題で軍事的緊張が続いている最中である現状を考えると、この事態は、一層の緊張感をもって対応しなければならないであろう。
 いや、それ以前に、この「中国公船の領海侵犯」という問題自体を、われわれ日本人の個々が緊張感をもってとらえることができるかが、問題であるようだ。

 こうした軍事的緊張は、外交上の背景として常に存在するわけで、この認識を政府のみならず、一般国民が、それぞれに共有しなければならないことだ。

「平和ボケ」、「日本は憲法第9条で守られている」などというのは、言葉上のことだけにしなければならないのは、当然のことだ。


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posted by キッドマン中佐(a) at 12:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月14日

西太平洋の軍事的ヘゲモニーは、中国が握ろうとしている。

 極東アジア、東南アジアの軍事的ヘゲモニーは、中国が握ろうとしているのは確かで、その「尖兵」となっているのが、北朝鮮である。中国が北朝鮮に対して、経済交流という形で北朝鮮経済のみならず、軍事開発をも支援しているわけだが、これについて米国のトランプ政権が、「更なる経済制裁の強化」を要請しても、中国の政権内部に勢力を占める「北朝鮮容認派」が、米国の要請を拒んでいるのであろう。
 つまり、中国は北朝鮮を利用する形で、韓国を事実上、恫喝しているのである。そして、日本に対しては、日米同盟に揺さぶりをかけているのが、極東アジアにおける覇権構造となっている。ここでも、積極的に画策する中国に対して、米韓、日米同盟の側は、遅れをとっているのが、現状であろうし、中国はフィリピンの主張を、自国の軍事直を背景として、問題視していないのである。

 度重なる北朝鮮による弾道ミサイル打ち上げ実験の背後には、それを支援する、とくに経済的に支援する中国の内部の集団が、存在しているのは、想像するに難くない。

 韓国は、中国の前に、身動きがとれない小動物にすぎない状態であるし、北朝鮮の強硬な姿勢は、すでに米国が設定するレッドラインを超しているのだが、日米が、この北朝鮮に対して軍事行動が採れないのは、その後の被害の想定が、あまりにも甚大であることを懸念しているのであろう。

 本来であれば、中国が主張するように、北朝鮮問題においては「話し合いによる解決」が、望ましいのだが、その結果で利するのは、中国一国であるのだろう。









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posted by キッドマン中佐(a) at 09:17| Comment(0) | 中国・台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月11日

イラク軍、モスルの制圧を宣言。

 この10日、イラクのアバディ首相は、ISからの奪還作戦を遂行していたイラク第二の都市、モスルの奪還を宣言した。これによって、ISは、ダッカに拠点を移し、抵抗を続ける様相となっているようだ。

 さて、このモスル奪還はイラクにとって、どんな意味を持つのであるのだろうか?
 このモスルは、ISの指導者であるバグダディが、IS(イスラム国)の樹立を宣言した都市であるわけだが、このイラク第二の都市であったモスルは、ISの支配もさることながら、このイラク軍の奪還作戦によって、住民はイラク軍の奪還作戦で、ISによって「人間の盾」にされ、徹底したイラク軍の攻撃で死亡している。また、この一連のイラク軍の「奪還作戦」と称する軍事攻撃を逃れ、難民となってこのモスルを離れている。
 こうして、この歴史的にも重要なイラクの第二の都市からは、多くの住民が去り、街は破壊し尽くされ、瓦礫の山となっているのが、現状である。

 私が何を言いたいかといえば、イラク軍は「奪還作戦」として軍事行動を執ったわけだが、これが本来のモスル「奪還」といえるのか、ということである。
 破壊し尽くされた都市で暮らことはできない。自給自足すらできないのである。
 そこで、かつてこのモスルの町で生活していた住民は、瓦礫の山となった自宅のあった場所に、果たして戻ることができるのだろうか?ISの弾圧の下で暮らした日々を思い返せば、誰もが凄惨な記憶が蘇り、戻って生活するなどと、考える者は誰もいないだろう。まして、瓦礫の山だけの廃墟である。
 たとえ、このモスルがかつての光景を取り戻すには、長大な時を必要とするであろう。

 果たして、イラク軍のモスル「奪還作戦」にどんな意味があったのだろうか?ISのメンバーは、単にモスルを放棄して、拠点を移しただけではないのだろうか。モスルの住民は去り、瓦礫の山だけが残るモスルは、

「奪還」と言いながら、都市を破壊したに過ぎないのではないのだろうか。
 他に、奪還の方法は、なかったのであろうか。

 都市の「奪還」とは、かつての住民が、以前と同じように、その場所で生活できてこその営為ではないのか。かつてのモスルで生活していた者たちに、「このイラク軍によるモスル奪還は、あなたの望んだ形になっているのか」と、・・・。

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posted by キッドマン中佐(a) at 13:27| Comment(0) | 中東・アフリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月07日

北朝鮮対応で、無意味に「制裁強化」を繰り返す、トランプ政権。

 G20が、開催されたが、それに先立って、日米韓首脳会談、中韓首脳会談が持たれたようだ。G20(先進国首脳会談)でも、当然のことだが、主たる議題の一つが、「北朝鮮によるICBMの開発、核開発の阻止」についてだが、この問題にあって、まさに当事国であると言える日本、韓国、米国、中国、ロシアの見解は、一致していない。もちろん、「制裁の強化」については、度重なる国連決議でも一致した見解を確認してきているわけであって、当事国にとっても何の異論もないところだ。
 しかし、「北朝鮮の現状についての対応:では、日米と中ロの意見は、一致していないばかりか、中国の習近平主席にいたっては、米国による北朝鮮への制裁強化の要求に対して、ある種の不満を内臓しているのであろう、ロシアと足並みを揃えて、「対話による解決」を主張している。

 一方、米国のトランプ大統領とすれば、軍事的な直接行動を匂わせながらも、何の効果も期待できない「中国の更なる北朝鮮への制裁強化」を、あたかもオウムのように繰り返している。
 これも当然だといわざるを得ない状況は、現在でも同様で、北朝鮮がICBMの開発に成功したとしても、米国に直接的な脅威となる状況ではない、ことは確かなのである。つまり、北朝鮮のICBMは、米国には直接的な脅威とはならないのだ。米国本土、特に東西量海岸の中心都市には、到達しないとの認識があるのである。

 さて、日本はどうかといえば、「米国に追従するしかない」という安倍政権の体たらくである。しかし、これを責めることは、誰もできない。つまり、日米安全保障条約の積極的な履行が、日本の現状では、最善の道であることは、間違いないだろう。
 本来なら、日本にとっても、「守備的な核兵器の保持」についての議論があっても良いのであろうが、それを言い出すだけの土壌が、現在の日本にはない。つまり、このことについての政治的にも、社会的にも、世論が形成されていないのである。・・・これについては、別の機会に触れてみたいと思う。

 ところで、北朝鮮と休戦状態にある韓国の文大統領は、この「北朝鮮への対応」については、本来、軍事的にも北朝鮮と敵対し、直接的な脅威となるのは、当然のところなのが、この愚かな政権は、「場当たり的な対応」しか採れず、なおも愚昧を繰り返している。

 何れにしても、効果のあがらない「更なる制裁の強化」を念仏のように繰り返していても仕方がない。そんな時間は、残されていない。

 すでに、北朝鮮は、米国が当初に設定したレッドラインは越えているのである。
 このレッドラインの設定についての設定を曖昧にすることの意味はないのである。


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posted by キッドマン中佐(a) at 19:23| Comment(0) | 韓国・北朝鮮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月05日

北朝鮮は、米国が設定するレッドラインを越えた。

 米国が北朝鮮問題の対応で設定したレッドライン「米国本土に到達するICBMを保有させない」を越えても尚、従来の主張である「更なる経済制裁の強化」を繰り返すトランプ政権の愚かさが、ここにきて際立っている。中国に期待したはずの「経済制裁」についても、当の中国が一切受け付けていない。つまり、トランプ大統領の要請を受け入れていないのである。

 今回の中ロ首脳会談では、表面上は北朝鮮の弾道ミサイルの発射について、国連決議に基づき非難声明を共同声明という形で出してはいるものの実質的には、「米国の強硬姿勢」をもけん制したものになっているのだ。

 考えてみれば、米国、中国、ロシアは何れも核兵器保有大国である。つまり、このことが意味することは、「自国が核攻撃を受けることはない」ということであり、「もし自国が核攻撃を受ければ、即刻、核兵器で反撃する」ということでもあるわけだ。
 ここにあるのは、米国とその同盟国である日本、韓国と中国、ロシアの友好国の間の「新たなる冷戦構造」ではないのか。
 韓国は、北朝鮮に対して恭順な姿勢を示しておけば、「同一民族である」との認識から北朝鮮の核兵器から受ける脅威は、一応、回避はできる。

 それでは、日本はどうか?
 結論を急げば、わが国日本は、北朝鮮の核攻撃からは、無防備な状態にあるのは確かだ。
 もし、日本が北朝鮮からの核攻撃を受けたならば、従来の主張である「米国の核によって護られている」との認識は、もはや無意味なものになっているのだ。なぜなら、日本が北朝鮮の核兵器によって攻撃を受けても、米国、米軍は自国の兵士を死地に追いやることなど、絶対にありえないのである。
 つまり、核兵器による攻撃に対しては、防御はありえないのであり、これに対しては反撃しか対策はないのである。「より強烈に反撃する」という威圧でしかないのだ。しかし、核の保有国に対する「威圧」は通用しないのも事実である。
 
 わが国の自衛隊は、現状では、その攻撃力すら保有していないのである。
 いまこそ、米国との関係を重視し、意向を確認しながら、「核兵器の保有」に関する方策を考える時期にあるのではないだろうか。

 この問題は、わが国の国民すべてに喫緊な課題となってのしかかっているのである。「平和ボケ」から脱却する時が来ているのである。

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posted by キッドマン中佐(a) at 11:40| Comment(0) | 韓国・北朝鮮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月04日

北朝鮮は、今朝、中距離弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。

 北朝鮮は、約一ヶ月ぶりに弾道ミサイルの発射実験を行った。この発射は、米軍の調査では中距離弾道ミサイルであると発表されている。このミサイルの軌道が「ロフテッド軌道」であることから、ICBM(大陸間弾道弾)ではないことは明らかである。もし、このミサイルが「ミニマムエナジー軌道」ならば、米国のトランプ大統領も、即座に、北朝鮮に対する直接的な軍事行動を執ったであろうことは、容易に推測できる。
 つまり、米国がレッドラインに定める「米国本土に到達するICBMの開発」であるならば、米国大統領として、北朝鮮に対する軍事行動を決断しなければならない、という国内事情もある。

 北朝鮮に拘禁されていた米国人大学生の帰国後の死亡に対して、米国の世論は北朝鮮に対する強行姿勢を求める声が高まっている、という事情もあろう。

 この北朝鮮による中距離ミサイルの発射は、「日韓は我慢の限界」だと発言しているが、これは日韓に名を借りた米国、トランプ大統領の「我慢の限界」を換言しているのは、確かだ。
 そして、これは対北朝鮮問題でのトランプ大統領が感じる「中国の出方への不満」であることも、想像するに難くない。つまり、中国の対応に対する不満でもあるようだ。

 この事態は、漫然としたときの経過が許されない事態に至っている。それこそ、韓国はいざ知らず、日本にとっては、まさに「我慢の限界」なのである。

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2017年07月03日

米国海軍、「航行の自由作戦」の意味すること

 昨日(2日)、米国海軍は中国が領有を主張する西沙諸島(パラセル諸島)の12海里内を米海軍所属のミサイル駆逐艦「ステザム」が航行し、「航行の自由作戦」を遂行した。
 これに対して、当然のことながら中国は、猛反発をしている。しかし、国際的な認識からすれば、この中国の主張を受け入れるのには、困難であると思われる。先のハーグでの仲裁裁判所の裁定も、中国は自国の主張を通し、無視している状態であるのは、国際的にも周知である。

 さて、「米国は、なぜ、この時期に航行の自由作戦を遂行するのか」であるが、当然のことながら、北朝鮮問題に関する中国の取り組み、つまり、米国のトランプ大統領が期待する、「北朝鮮に対する更なる制裁が奏功していない」とのトランプ大統領の判断があることは間違いないところで、それどころか、北朝鮮は中国の援助で継続的に核開発、弾道ミサイル開発を続けている、と認識しているようにも考えられる。
 ここのところ、トランプ大統領は、「北朝鮮に対する軍事行動の準備をする」ことの指示を出していることもあり、また、トランプ大統領の一連の言動にも、直接的な軍事行動を感じさせるものが、頻繁に見え始めている。
 さらに、トランプ大統領にとっては、メディアへの対応など、国内事情も大きく影響しているようにも思える。

 メディア報道では伝わってこない、「米国の北朝鮮への直接的な軍事行動の日が近い」との判断が容易にできる状況にあるおとだけは、確かだ。

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2017年07月02日

米韓首脳会談における北朝鮮問題に関する対応で温度差。

 6月30日、米韓首脳会談が行われた。
 主たる議題は、北朝鮮問題への対応だが、「米韓が協調してこれにあたる」との認識には、両国とも一致した見解だが、個別の対応、北朝鮮に対する認識には、大きな乖離があったのは事実で、韓国の文大統領は「制裁と対話を活用する」とした姿勢を示し、これに対して米国のトランプ大統領は「北朝鮮の体制に対する戦略的忍耐という時代は失敗した。忍耐は終わったんだ」と強硬姿勢を前面に打ち出した。

 この両首脳の主張は、今後の北朝鮮に対する行動指針として考えるべきで、この観点からすれば、米国のトランプ大統領は、中国の北朝鮮に対する対応、つまり、北朝鮮に対する中国の制裁が、有効に機能しなければ、「米国は、独自に北朝鮮への直接的な軍事行動を執る」との認識を再確認した形になっている。一方の文大統領とすれば、北朝鮮に強圧的な姿勢をとれば、自国の蒙る被害は、人的なものに限らず、あらゆる面で甚大であることは、当然のこととして認識していようし、文大統領自身の思想的心情も「北朝鮮に対して融和的である」ことは、国際的にも周知のことである。

 また、トランプ大統領は、中国の北朝鮮に対する制裁が、有効に機能していないことに懐疑的であるのは、ここのところの政権内からの発言でも、知ることができる。
 そして、また、北朝鮮は「ICBMの開発を断念することはなく、今後も継続していく」旨を表明しているのであるが、こうした一連の流れを追って行くと「米国の北朝鮮に対する直接的な軍事行動は近い」との認識を、われわれは抱かざるを得ない。

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2017年06月29日

「北朝鮮の本国に届くICBMの開発は、もっと早い」(米国連大使)

 このほど、ヘイリー米国連大使は、議会で「北朝鮮の本土(米国本土)に届くICBMの開発には複数年かかると考えられていたが、もっと早い」との認識を示した。

 このヘイリー国連大使の議会発言は、これまで米国が北朝鮮への直接的な軍事攻撃にあたってのレッドラインとしてきた「米国本土に届くICBM(大陸間弾道弾)の開発が成功すること」とされていたのだが、このことに言及したことのように考えられる。つまり、トランプ大統領は国連決議に基づき、中国に北朝鮮に対する更なる制裁を求めていたが、現状での「中国による北朝鮮への制裁が有効に働いていない」との認識を示したと同時に、「米国の北朝鮮への直接的な軍事行動が近く実行されることにもなる」とのトランプ政権の意思表明にもなっている。

 ヘイリー国連大使が、この議会発言で述べている事実は、北朝鮮のICBM開発の資金は、海外で働く北朝鮮労働者の本国への送金であるとのことだが、この背景には、中国から北朝鮮に供給される石油の制限と闇取引での資金流入が相当な額に上ることを示唆しているようだ。

 いま、トランプ大統領は、この北朝鮮問題では、中東の現状と合わせて、ジレンマに陥っているようでもある。

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2017年06月26日

ISの中心都市であるモスルの奪還間近。

 イスラム国の中心都市・モスルは、イラク軍などによる奪還が間近に迫っているようだが、このモスル奪還作戦による市民の懸念は、奪還された後も何ら好転する見込みはおうない。
 このモスルの奪還作戦は、モスル市民の生活を以前のような形に取り戻すことが目的ではなく、イスラム国の支配から開放することだけにあるようだ。

 モスルの住民を一箇所に集めて人間の盾に仕立て、イラク軍の攻撃に対抗しようとしている。そこにイラク軍は、ミサイル攻撃を加える、という杜撰さなのであるが、これではモスル市民にとっては何のための開放か理解に苦しむのは、当然のことであろう。
 戦力に大差があるイスラム国とイラク軍との間の戦闘は、イスラム国側がモスル市民を恐怖に落とすだけではない。イラク軍も彼らを「モスル奪還作戦」として一般市民を結果的に攻撃しているのである。

 一般市民を恐怖に落とす「作戦」に、どんな意義があるのか?
 一般市民に、この恐怖を逃れる方策はあるのか?

 モスルの市民は、この両者の狭間にあって、恐怖とともにモスルを離れる、逃れるしか方法がないではないか。
 つまり、このイラク軍などによる「モスル奪還作戦」とは、イスラム国の掃討に名を借りた、単なる一般市民の虐殺となってはいないか、との疑問が残る。

 イスラム国の排除、掃討には、根本的な疑問が払拭されないまま、残る。
 つまり、このイスラム国を生んだ背景と、その目的が、いまひとつ見えてこないことと、イスラム国が未だに存在しているからには、それを支援する国家、組織が存在することを想像することに難くはない。

 本来ならば、このイスラム国に対して武器支援、物資の支援、人材の支援などの支援体制の打破が、まず、最初に採られるべき作戦ではないのか。この疑問が、われわれの意識から払拭されなければ、「モスルの奪還」も「イスラム国の打破」もモスル市民の行く末を案じる我々の意識は、暗雲がたちこめたままだ。

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